経営者は利益の獲得を目指しますが、多くの経営者は、いつの
間にか売上を増加させようとします。その場合、当然のように
経費が増加する前提で考えています。これも経営の常識と思っ
ているようです。
本来、売上を最大にして経費を最小にすべきなのですが、売上
を増やしながら、必然的に経費が増える愚を犯していきます。
売上を増やしていきながら、経費を減らすためには、そこにど
うしても智恵と創意工夫を要することになります。利益は、そ
んな努力の結果から生まれるものです。
利益を出すためには、仕組みの構築と同時に適正な値付けが必
要です。ところが、ここでも多くの経営者は、売れる価格で値
段を決めていきます。結果として赤字経営になります。
値段を決めるの経営の基本原理です。創業経営者が決める以外
にできません。販売価格は、経営の生死を決する重大事です。
売手や買手に満足させられる価格は、最終的には経営者が判断
すべき重要な仕事です。
いろいろな企業がありますが、販売価格が決まっていない会社
は成長していきません。常に、市場に揺さぶられて価格が安定
しません。
利益とは、値決めからしか生まれません。そのために営業は市
場からあらゆる情報を収集してきます。また、他社と競合する
商品は、徹底的に分析して製造販売をおこなうかどうかを検討
する必要があります。私がみていた企業は、このような作業を
することなく、だらだらと事業を継続していました。
事業は、常に変化に合わせて撤退と新規参入、あるいは現状の
製品を磨き上げて他社を凌駕する品質や顧客の要望に合致した
製品をつくっていかなければ事業を継続していく意味がありま
せん。
極論から言えば、価格を安くすれば私でも売れます。そのよう
な商品を販売しても利益を出すことはできません。すぐに撤退
すべきです。
撤退できないのは、新たな商品をみつける努力をすることもな
く、ただずるずると既存の商品やサービスの販売を続けている
だけだからでした。
新規参入は利益があるうちに挑戦しなければなりませんから、
中小企業の場合、とくに時間との勝負となります。
このような挑戦をしないのが中小企業です。だから、いつまで
も儲からない商品やサービスを売っていました。
小さな企業だからこそ、ニッチを探していけば利益を獲得でき
る市場があります。この場合、やはり人材ありきです。
経営者は、人材を探し、良いと思った人材には挑戦させていか
なければなりません。
何事も無から有を生むのは人しかいません。
AIに頼んでも、このような仕事はできません。だからこそ、
中小企業の仕事はおもしろいのです。