私の営業時代にできなかったことに「1円の利益」を大事にす
るということでした。私は、安売りばかりしながら営業成績を
あげていました。それでも当時の上司は評価してくれました。
このような販売でよいのだ、と私は思っていました。本当は、
このような販売方法には問題があり、結果として私が在籍して
いた企業と競合会社は合併しています。
その後、ソニー子会社へ転職して知りました。1円の利益を確
保するために、どれだけの売上が必要かもわかるようになりま
した。理由も簡単です。自ら事業計画を作るからです。作った
数字には責任をもたなくてはなりません。私が所属する部門は、
コストセンターですから売上はありませんでしたが、無駄な経
費や工数を削減しながら自部門の管理運営をおこなってきまし
た。現場がどれほど苦労して売上と利益を確保しているかとい
うことを、毎月嫌というほど体得できました。
経営の基本は赤字をださないことです。日ごろから赤字を出さ
ないよう腐心している経営者は、数字に対して厳しい姿勢をも
っていました。ソニー子会社の場合、自由に事業計画を策定で
きますが、同時に責任者は利益責任を負っています。
売上というのは繰り返し繰り返し販売し、その和が高まり、売
上高が増えていく性質があります。当期純利益は、ボトムライ
ン (最終利益 )と呼んでいますが、たとえば税引前利益が1
円あれば、企業によって違いはありますが、その中から税金に
0.30円払って、会社に0.70円残ります。利益をあげることとは、
税金を払うことです。
中小企業の場合、この点の理解ができていなと思われますが、
利益が増えて税金を払うことが、本来、幸福な経営なのです。
経営者は、税金を払いたくないと思いがちですが、税金を払う
ためには、利益をあげる必要があります。良い経営とは、結果
として税金を払う幸せをもっているのです。このことも簡単な
ことですが、利益がなければ税金が払えないからです。
資本主義経済は、好況と不況の波があります。景気がよいとき
は、多くの企業は浮かれ気味になり、経済全体が上向きます。
悪くなれば、だいたいどの企業も元気がなくなります。このよ
うな経済変動がある場合でも、経営者を中心に全社員が、1円
でも利益を稼ごうと行動していれば、小さい会社でも大きな会
社でも、悪い経営になりにくいものです。
経営の基本原理とは、赤字をださないことです。このことが理
解できている経営者は、私が知る限り2名の経営者だけでした。
好業績を出している企業は、経済の好不況にかかわらず、黒字
経営をしています。その厳しさは、経験したものしかわからな
いでしょう。