東証のホームページによると、グロース市場は、「高い成長
可能性を有する企業向けの市場」とされているが、現状の時
価総額基準、10年で40億円だ。ところが、その実態は、
約7割の企業が未達らしい。成長しない企業がいかに多いか
だ。
今後、この基準を5年で時価総額100億円以上にするとい
うコメントがメディアで報道されていた。東証もこのような
企業ばかりでは、グロース市場自体の存在意義を問われかね
ない。成長できない企業を排除するための基準変更だろう。
日本のベンチャー経営者の能力がわかるというものだ。東証
も今頃気づいたようだ。わが国の問題点は、成長性があると
思われる企業に資金がいきわたらないことだ。ベンチャーキ
ャピタルなどのサラリーマン化された投資では、本来的な成
長性ある企業の発掘はできないだろう。
市場の基準変更は、単なる企業の選別だけになり、成長性あ
る企業を、どのように発掘するかという仕組みがなければ、
また、これまでと同じことを繰り返すだろう。
だいたい変なことをやる人間は、人格的にも少々クセがある。
初対面からして怪しく感じるものだろうが、やっていること
の本質をみれる人間(キャピタリスト)の存在が不可欠だ。
この点でも社会構造が米国と大きな違いがある。むしろ、成
長したベンチャー企業の経営者がキャピタリストとして、ベ
ンチャーを育てることが必要だろう。勿論、リスクを取る覚
悟のうえだ。経営者の経歴など安定した情報ばかりを前提と
したり、資金回収ばかり考えるキャピタリストでは、ベンチ
ャーは育たない。
わが国の仕組みは、長期的な視点で物事を動かしていくとい
うことが欠如している。この点でも課題が多い社会構造だろ
う。