一般的に「ニッチ」とは、「すきま」という意味で使用され
ることが多いのですが、実ははるかに深い意味を持つ言葉で
す。生物学者の福岡伸一博士によれば、ニツチとはもともと
は生物学の言葉で「すべての生物が守っている自分のための
窪みや生物学的地位」のことを言います。
生物は自らのニツチ である自分だけの場所を見極め、頑なに
自らを限定し、無益な争いを避けていると、福岡さんは述べ
ています。生物種が生態系内でこれらを巡る種間の争奪競争
に勝つか、耐え抜いて、得た地位が生態的地位(ニッチ)で
す。ニッチを獲得できた生物種だけが生態系内で安定した生
存が可能となります。
企業で言えば、ただすきまを見つけただけでは繁栄しないこ
とになります。自社でみつけた生物学的地位とは、企業でい
えば自社の確固たるポジションです。小さいとか大きいとか
というサイズではありません。社会のなかで自社の成果物が
なければ、社会活動ができないということです。
企業活動も生物である人間がおこなうものです。だからこそ、
社会は時代とともに変化していきますが、自社のニッチ=ポ
ジションも変化していくものです。フジテレビのように安定
していた経営が崩壊するのも自分の居場所を失っていく過程
にありそうです。企業というものは、確固たるニッチをもつ
ことが必要です。
中小企業が大企業に勝てるのは、生物学的な原理からも明白
です。