経営とは、常にムダを省くことをやりたがります。理由も簡単
です。誰でもできるからです。自社株買いや資産売却も簡単な
ことですし、理由をつけることも容易いものです。しかし、成
長のための投資にはリスクが伴います。ところが投資を実行で
きなければ、持続的成長ができないのもの事実です。
自社株買いや資産売却などの引き算だけに注力すると、その結
果は、事業規模の縮小ということになります。引き算ばかり実
行する経営者は、一時的に株主や会社に利益をもたらし、 R O
E や ROAの数字を改善するかもしれませんが、長期的に見れば
、企業の持続的成長を阻んでいく可能性が高くなります。
本来、企業経営は持続的な成長を考えながら経営していくのが
本旨ですが、将来の利益を生み出すための投資であったり、投
資のために増資をおこなったり、あるいは銀行借入れを増やし
たりします。これらを実行すれば、経営指標である計算式の分
母が増えて短期的に R O E や R O Aは悪化します。
経営者の仕事は、経営指標だけに注力するわけではありません。
結果的に、企業体質を弱くして持続的な自らの成長を阻害する
結果を招く可能性があります。
中小企業の経営者ほど「投資」の意味を体得している人間はい
ないでしょう。
上場企業でもないでしょうから、中小企業の経営こそ、積極的
な投資が必要になります。
しかし、その前提は、稼ぐ力です。中小企業では、先ず、利益
を出す体質をどのように作っていくかを考えることが最優先事
項です。
これができる経営者は、投資の意味をより理解できていました
し、だからこそ、中小企業から大企業へ転換できたのではない
でしょうか。
利益と投資は不可分な関係です。